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あの人、探してください!

Duvet

人物
 ナレーター
 長谷川穂高(40)依頼人
 AD(25)検証番組のAD
 染谷謙(45)『あの人、探してください!』司会者
 春野明日香(24)『あの人、探してください!』副司会者
 番組ナレーター
 番組AD

○テレビ画面
   テレビ番組『あの人、探してください!』の映像。
   司会の染谷謙(45)と春野明日香(24)が中央に立ち、ひな壇にタレントたちが座っている。
   客席からの拍手で番組が始まる。
染谷「はい、今週も始まりました。『あの人、探してください!』司会の染谷と」
明日香「副司会の春野明日香です!」
   再び拍手に包まれ、客席に手を上げてあいさつをする染谷と明日香。
N「これは12年前に放送されていたテレビ番組、『あの人、探してください!』の映像です」

○オープニング映像
   「あなたの会いたい人はだれですか?」というテロップが出た後、タイトルコールと共にスタジオが映し出される。
N「この番組は、毎回、視聴者から依頼人を募集し、依頼人たちのもう一度会いたい人を探すという趣旨の番組である」

○テレビ画面
   スタジオで依頼人と見つかった人がハグしている。
   涙を流す依頼人。
   ひな壇で涙をぬぐうタレントたち。
N「探していた人物との感動的な再会を果たすケースや、多くの手掛かりを残して捜索打ち切りとなるケースもあり、依頼の結果に多くの視聴者が心を揺さぶられた」

○イメージ
   匿名掲示板の画面。
N「人気の一方で、番組のやらせや倫理観についての疑問が指摘され、番組は2013年8月22日の放送で幕を閉じた」
   スレッドに「あれは全部やらせ」「時代に合わない不謹慎番組」など、やらせを疑う声や番組の倫理観を問う書き込みが書かれている。

○テレビ局・番組制作部
   デスクで社員が仕事をしている。
N「放送終了から12年、SNS上で1件の投稿が話題となった」

○イメージ
   SNSのタイムライン。
   「このスレってガチなん?」という言葉と共に一件のリンクが貼られた投稿。1万いいね!がついている。
N「この投稿に貼られたリンクを開くととある匿名掲示板のスレッドが表示された」

○イメージ
   匿名掲示板の画面。
N「スレッドの作成日は2025年3月16日。SNSの投稿の1か月前である」
   スレッドタイトルに『あの人、探してください!の最恐回』とある。
   スレ主によってスレッドの一番上に「2013年6月9日放送 依頼人 長谷川穂高」と書きこまれている。
N「2013年6月9日の放送。この回は離婚によって会えなくなった娘に会いたいという父親からの依頼であった」

○テレビスタジオ
   T「2013年、6月9日放送」
   司会の染谷と明日香がセットの中央に立っている。
染谷「じゃあ早速一人目の依頼人の登場です!」
   拍手と共に、依頼人の長谷川穂高(40)がセットの扉から現れ、染谷と明日香の間に立つ。
長谷川「岐阜県和泉町から来ました。長谷川穂高です。山岸葵をさがしています」
   長谷川の紹介VTRが流れる。

○食品工場・工場内(夜)
   長谷川、工場で働いている。
番組N「長谷川さんはとある食品加工工場で日夜働き、生計を立てています」

○長谷川家・室内(夜)
   長谷川、6畳一間の部屋で半額弁当を食べている。
番組ADの声「半額弁当ですか?」
長谷川「はい、今日はカメラが回ってるので贅沢です」
   食べかけの半額弁当を少し上げ、照れ笑いをする長谷川。
番組N「苦しい生活を送る長谷川さん。その身に一体何があったのでしょうか?」

○イメージ
   会社員時代の長谷川穂高さんの写真。
番組N「長谷川さんは就職氷河期に就職活動を行い、非正規雇用でいくつかの事務職を転々としていました」
   デスクワークする長谷川の再現VTR。
番組N「それでも1998年には不動産会社に正社員として入社し、翌年には結婚、出産。順風満帆でした。しかし」
   リーマンショックのニュース映像。
番組N「2008年のリーマンショックの影響で、長谷川さんは解雇。再就職もできず酒に溺れる毎日を過ごすように」
   べろべろに酔っぱらった長谷川の再現VTR。

○長谷川家・室内(夜)
   食べかけの半額弁当を見つめる長谷川。
長谷川「当時はバカでした。酒に溺れて、妻にも手を上げて……」
   長谷川、鼻を啜る。

○食品加工工場・工場内(夜)
   黙々と働く長谷川。
番組N「その年、長谷川さんは離婚。当時8歳だった娘の葵ちゃんは妻の英子さんに引き取られました」

○長谷川家・室内(夜)
   番組Dの方を向く長谷川。
長谷川「自業自得ですけど、もう一度会えるなら会いたいです」
番組N「長谷川さんはそう寂しげに語った」

○イメージ
   匿名掲示板の画面。
   「2013年6月9日放送 依頼人 長谷川穂高」という書き込み。
N「離婚後に会えなくなった娘にもう一度会いたいというハートフルな番組内容だが、立ち上げられたスレッドには驚きの内容が書かれている」
   スレッドの書き込みがスクロールされていく。
N「最初の書き込みから1時間。再びスレ主が現れる」
   スレ主の「長谷川穂高は山岸葵の父親ではない」という書き込み。
N「長谷川穂高は山岸葵の父親ではないとは一体どういうことか。スレッド上では多くの議論がなされた」
   スレッドで「娘の写真が1枚も出ないのはおかしい」「そもそも離婚から5年後に依頼してるのはなぜ?」「全部やらせってことだろ」といった考察が交わされる。
N「しかし、それ以降スレ主の登場は無く、様々な疑惑を残したままスレッドは閉じられた」

○テレビスタジオ
   染谷と明日香の間に立つ長谷川。
長谷川「岐阜県和泉町から来ました。長谷川穂高です。山岸葵をさがしています」
   笑顔で笑う長谷川の顔。
N「残念ながら番組は山岸葵の捜索の結果が出る前に打ち切りとなってしまった」

○イメージ
   長谷川のスレッド。
N「なぜ、今になってこんなスレッドが立てられたのか、なぜ長谷川穂高は山岸葵を探していたのか、山岸葵とはいったい誰だったのか」

○テレビ局・番組制作部
   電話をするAD。
N「手掛かりを得るため、番組スタッフは『あの人、探してください!』の番組ディレクターに連絡を取った」
AD「はい、番組について覚えていることがありましたらお聞かせいただきたいのですが」
   頭をこくこく動かしながら話を聞くAD。
AD「はい、では後日改めて、お伺いいたします。失礼します」
   電話を切ってディレクターの方を見るAD。
AD「番組の編集前の素材がまだ残ってるかもしれないということで、後日直接お会いすることになりました。それから、長谷川さんを担当していたADが番組終了後すぐに退職していて今は連絡がつかないらしいです」

○暗転
   T「この番組はフィクションです」

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